こんにちは!CCB代表の角田憲吾です。
今回は、クラフトカレーブラザーズの味を支える「塩」についてお話しします。
100種類の塩を試して辿り着いた答え
私たちは、カレーの味を最も左右するのは「塩」だと考えています。
甘味・酸味・苦味・旨味、すべてのバランスを最後に整えるのが塩。
そのため、100種類以上の塩を取り寄せ、カレーにおける味のバランスを徹底的に比較しました。
結果たどり着いたのが、フランス・ロレーヌ地方の岩塩です。
この塩こそ、クラフトカレーブラザーズの味の“最後の決め手”になっています。
ロレーヌ岩塩とは?
ロレーヌ岩塩は、フランス北東部ロレーヌ地方の地下から採掘される天然の岩塩です。
約2億年前の海水が地層に閉じ込められ、長い時間をかけて純度の高い塩の鉱床となりました。
そのため、不純物が極めて少なく、角のないまろやかな塩味が特徴です。
ミネラルバランスも非常に良く、ナトリウム以外にもカルシウムやマグネシウム、カリウムを自然な形で含みます。
そのため、しょっぱさの中にも丸みと奥行きがあり、口当たりが柔らかいのです。
他の塩との違い
種類 | 特徴 |
---|---|
食塩(精製塩) | 99%以上が塩化ナトリウム。味が尖り、後味に苦味が残る。 |
海塩 | ミネラルを多く含むが、産地や製法により味のバラつきが大きい。 |
岩塩(ヒマラヤ・アンデスなど) | 強いミネラル感や硫黄香を持つものもあり、料理との相性に個性が出る。 |
ロレーヌ岩塩 | 粒が均一で溶けやすく、塩味に丸みと深みがある。カレーの香りや旨味を引き立てる。 |
塩がカレーの味を決める理由
カレーの味づくりは、スパイスの調合だけでは完成しません。
塩が少なすぎると味がぼやけ、逆に多すぎるとスパイスの香りが立たなくなります。
私たちは何百回もの試作を重ねて、「このロレーヌ岩塩の粒度と溶け方」が最も理想的だと確信しました。
溶けるスピードが絶妙で、炒め玉ねぎの甘みやスパイスの香りを調和させ、全体を丸くまとめてくれます。
それは、まるで音楽における“マスタリング”のような役割。
すべての要素が完成しても、最後の塩がなければ音は整いません。
「クラフト」としての塩選び
私たちが100種類の塩を試したのは、単に味を求めたからではありません。
添加物に頼らず、自然の素材だけで「旨味の完成形」をつくるには、塩の力が欠かせないからです。
ロレーヌ岩塩は、その理念を最も体現する素材でした。
次回予告
次回は、「スパイスブレンド」についてのこだわりをお話しします。
参考文献:
・フランス農業・食料省(Ministère de l’Agriculture):ロレーヌ岩塩の地質的起源と成分特性
・日本塩工業会:塩の種類と製法の比較データ