こんにちは!CCB代表の角田憲吾です。
今回はクラフトカレーブラザーズの「製造工程へのこだわり」について、具体的な裏側をお話しします。
“あめ色の先の玉ねぎ”が味の中心
クラフトカレーブラザーズのカレーの味を決める一番の要となるのが、“あめ色の先の玉ねぎ”です。
私たちは、なんと100kgの玉ねぎを6時間かけて炒め、最終的に10kgになるまでじっくりと火を入れます。
ここまで手間をかける理由はただひとつ——甘味・旨味・コクの極限を引き出すためです。
玉ねぎは長時間火を通すことで、複雑なメイラード反応が進み、香ばしい甘味と深いコクを生み出します。
この「焦げる寸前まで追い込む」感覚は、実はフレンチのキャラメリゼやデグラッセにも通じる技法です。
玉ねぎをただ炒めるのではなく、旨味の境界線を見極めながら仕上げる。
まさにクラフトマンシップの象徴ともいえる工程です。
火入れに妥協しない理由
クラフトカレーブラザーズでは、玉ねぎに限らず、すべての素材に対して火入れの“最適点”を探す姿勢を大切にしています。
火を強くしすぎれば苦味や雑味が出る。弱すぎれば甘味も香りも立たない。
だからこそ、素材ごとに火加減・時間・水分量を調整し、味が最も美しくなるポイントを探り続けています。
これは大量生産向けの効率的なレシピでは実現できない、クラフトならではのアプローチです。
甘味は“足す”のではなく“引き出す”
私たちが大切にしているのは、甘味を砂糖で加えることではなく、素材から自然に引き出すことです。
玉ねぎ・にんじん・果物・トマトなどの自然な甘味と酸味を丁寧に抽出していくことで、
深く優しい甘味とコクが生まれ、後味が軽いカレーになります。
この“自然な甘味抽出”こそ、クラフトカレーブラザーズの味の大きな特徴です。
なぜここまで手間をかけるのか?
答えはシンプルです。
「手間をかけた分だけ美味しくなる」と知っているから。
利便性・効率性を追求する時代だからこそ、あえて時間をかける。
その先に生まれる味の説得力こそ、クラフトとしての価値だと信じています。
58年受け継がれる技術の延長線上にある製造工程
クラフトカレーブラザーズの製造工程は、私の家業で58年間受け継がれてきた
“食に真摯に向き合う技術と姿勢”の延長線にあります。
・火加減を読み、焦げる手前で止める感覚
・うま味が最大化するタイミングを見極める目
・機械では置き換えられない“職人の勘”
これらは短期間で身につくものではありません。
だからこそ、クラフトカレーブラザーズの味は真似できないのです。
次回予告
次回は「スパイスの調合」についてお話しします。
複数のスパイスをどのように重ね、香りを設計しているのか、その裏側を解説します。
参考情報:
・クラフトカレーブラザーズ 製造工程ノート(1966〜2025)
・フレンチ調理技法:キャラメリゼ/デグラッセに関する基礎資料
・食品科学:メイラード反応と糖・アミノ酸変化の研究